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コラム「相撲が朝青龍を殺す その2」

朝青龍が病気療養のため、ようやくモンゴルに帰国した。

しかしながら、療養中の行動の自由は相撲協会から許されておらず、繁華街への立ち入り禁止や24時間の監視体制など厳しく制限が設けられているようだ。また、万が一帰国中にそういった制限を破るなどの問題を起こした場合、朝青龍には高砂親方ともども廃業という厳罰が下されるとのことだ。

この厳しい処置は、なかなか思い通りにならない横綱へのある種感情的な制裁に近いものがあるように思う。

これで朝青龍がモンゴルで遊び歩いていたりする記事がスクープされ、さもありなんと相撲協会が朝青龍と高砂親方を廃業に追い込む・・・そんなシナリオが既に出来上がっているような気がする。

彼らを廃業に追い込むことで怒り狂った相撲協会が溜飲を下げるかどうかは知ったことではないが、こういった相撲協会の感情に任せた一連の処置は角界に留まらず、国際的な問題に発展しかねない非常に危険な処置であると忠告しておきたい。

最悪、日本が国際非難を浴び、政府が収拾に乗り出すという大事になりかねない。

相撲協会の朝青龍への一連の処置は、客観的に見た場合、人権侵害に抵触する恐れが十分にあるのだ。

以前、テレビのワイドショーのコメンテーターが、「相撲協会を会社とするなら、その会社員である朝青龍は病気の治療に関して相撲協会の指示に従わなければならない。」と話していた。このコメント自体もかなり問題なのだが、あえてこのコメントを元に考えた場合、相撲協会という会社が朝青龍という社員に対して行った処置は、法に訴えられてもおかしくない程の人権侵害である。

1.朝青龍が療養先のモンゴルでサッカーをしたというだけで仮病と決め付け、詳細な調査も決定的な証拠もなく出場停止などの一方的な処分を下したこと。

これを会社で例えると、風邪で会社を休んだ日に取引先から電話で急な用事を頼まれた為、手伝ったというだけで会社から一方的に仮病と決め付けられ、「しばらく会社に来なくて良いよ。その分給料出ないよ。」と告げられるということである。

朝青龍がプレイしたというサッカーもモンゴル大統領に頼まれて出場したものであり、プレイした時間もフルタイムではない。大統領に頼まれたという時点で国家絡みのイベントであるので朝青龍にとっていわば公務である。遊んでいたわけではないのだ。
サッカーをしていた朝青龍自身も「元気そうだった」というだけで、「仮病だった」のではない。大統領が関わるイベントであったため、あえて苦しそうな表情を出さなかったのかもしれない。簡単に弱みを見せることができない横綱という日本を代表する立場であるならなおさらだ。

朝青龍に処分を下したことが問題なのではない。しかし、処分を下した理由が「仮病っぽいとマスコミに騒がれている」というあまりに希薄な根拠を前提としていることが大問題だ。

2.精神的な障害が疑われる朝青龍に対して、まず家族に説明し相談することもなく、勝手に高砂親方や相撲協会が診断する医師などを次々と変え、治療を遅らせたこと。

これを会社で例えるなら、病気が疑われる社員に対して本人やその家族に相談することなく、その意志や考えを無視して、会社が診断する医師や治療方針を決め、社員に対して押し付けるということである。

こんな会社がもし実在するとしたら、行政指導どころの騒ぎではない。さらに朝青龍のケースでは病人の行動の自由まで奪ってしまっている。

3.朝青龍が病気療養のためモンゴルに滞在している間、24時間の監視体制を敷くとともに、繁華街などへの娯楽施設に出入りすることを禁じ、違反した場合は親方ともども廃業させるとしていること。

これを会社で例えるなら、実家で病気療養中の社員に対して会社が24時間の監視を行い、もしその社員が友人とビールを飲みに行ったり、スポーツ観戦をしたりした場合、即刻解雇するということである。

気分転換も許されない病気療養とは一体何だろうか?いかなる理由があろうと社員を24時間監視し続けるようなことも許されるはずがない。もしこんな会社があったとしたら、という前提自体がバカバカしくなる。断言しても良いが、こんなパワハラを平然と行うような会社は今の日本にはない。人権無視も良いところだ。

これらの制裁を受けているのが一個人と考えた場合、いつ訴えられてもおかしくない状況であることを相撲協会や高砂親方は理解しているのだろうか?

モンゴルではこれらの人権侵害について既に国民が騒ぎ始めている。が、モンゴル大統領は日本と友好関係を保ち続けたいという政治的思惑があるため、今の所、特に日本を糾弾してくるような態度は見せていない。しかしながら、モンゴル大統領が国民の声に耐え切れなくなり、日本を糾弾してくるのはそれほど遠くないと思われる。そうならなくとも、海外のメディアが事の詳細を把握した段階で、国際世論によるかなりの非難を覚悟しなければならない。

その場合、非難の的は相撲協会という一団体ではなく、日本という国に集中することは間違いない。しかも朝青龍はモンゴル人、国際問題だ。

朝青龍という個人に対する制裁の是正について日本政府もそろそろ重い腰を上げるべきだと思うのだが・・・。

(2007/08/31)tank


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2007年08月31日 16:00に投稿されたエントリーのページです。

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