コラム「だからハリウッドは日本に媚を売る」
ここ数年、映画界で起こっている現象をご存知だろうか?
芸能関係のニュースがお好きな方ならなんとなく感じておられるかもしれないが、ハリウッド映画の日本進出である。
そうは言っても1~2年前に流行り、すぐに鳴りを潜めた「韓流」のようなものとは違う。ハリウッド映画の日本市場重視の姿勢のことだ。
ハリウッド映画に代表される北米で製作された映画は、もう数十年も前から日本では上映されてきたし、今更進出も何もないもんだと思われる方も多いと思うが、ここ数年のハリウッドの日本に対する姿勢はあからさまに親日に傾いている。
映画の公開前にその出演者達が頻繁に来日する。
全世界に先駆けて日本で先行上映される映画が増加。
映画の一部主要キャストに日本人が起用されるケースが増加。
作品のテーマが日本であったり、一部モチーフに日本文化を取り入れる。
更に言えば、
日本の映画作品やクリエイター、俳優が海外の映画際で賞を獲得したり、候補としてノミネートされたり・・・。
とにかく、ここ最近の海外映画界の日本びいきを数えあげていけばそのネタは尽きない。
なぜこのような現象が顕著になってきているのか?
それは、世界の映画界にとってその市場規模を「ついで」と割り切れないほど日本の市場が大きくなっているためである。
日本のマーケットを押さえることができるとできないとでは、その興行収入に1.5倍~2倍近くの差ができる。
例えば、トム・クルーズが主演した「ラスト・サムライ」。全米での収入は1億ドル(約120億円)だが、それに対する日本での収入はなんと100億円。ほぼ同額なのだ。
なるほどこれでは、アジアの一地域と割り切るには非常に勿体無い市場だ。
だからこそハリウッドは日本に媚を売る。日本の顧客に対してアメリカ人に対するのと同等のサービスを行う価値があるのだから。
実は、こういった日本マーケット重視の姿勢は、1997年に製作されたレオナルド・ディカプリオ主演「タイタニック」公開直後から始まったようだ。
「タイタニック」の全米での興行収入がおよそ6億ドル(約720億円)に対し、日本での配給収入は160億円を叩きだしたのである。
アメリカの映画マーケットは既に成熟しており、それ以上の大幅な収入の増加は見込めない状況であるのに対し、定期的に映画館に通うという習慣のない日本は、まだまだこれからという新興マーケットだ。
「狙うなら日本マーケット」と、この「タイタニック」の状況を見た映画関係者達は狙いを定めた。
かくして現在、日本の映画ファンは未曾有のサービスを受けている。映画の公開時期ともなれば海外のトップスターを間近に見ることができるし、様々なテレビ番組でも特別ゲストとして登場してくる。
へたをすると全世界で最初に新作映画を堪能することも可能だ。
願わくば、このまま日本の映画熱が冷めることなく、海外にとって美味しい市場であり続けて欲しいものである。
(2007/08/6)tank
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