« 2007年06月 | メイン | 2007年08月 »

2007年07月 アーカイブ

2007年07月19日

コラム「『ひぐらしのなく頃に』と『あの作品』の共通点!?その1」

さて、「ひぐらしのなく頃に」である。

元々同人ソフトとして竜騎士07氏とその弟である八咫桜氏が製作し2002年夏のコミックマーケット62にて最初の作品「鬼隠し編」を発表したものだ。

同人ソフトと言ってもいわゆる18禁ものではなく、それどころかゲーム中選択肢もなく、キャラクターや背景などのビジュアルと共にシナリオを読み進めていくというゲームと言うよりはビジュアルノベルの類に含まれる内容であろう。

選択肢が全くないため、マルチシナリオなどとは異なり主人公の行動や言動によって物語が変化することはない。

発表当初はそれほど認知度のあるものではなく、その後の「綿流し編」「祟殺し編」と共に数ある同人ソフトの一つに過ぎなかったが、2004年に公式サイトで体験版として「鬼隠し編」が無料で配布された頃よりインターネット掲示板のクチコミで火が付き、ウワサが瞬く間に広がった。

ゲームの内容を少しご説明すると、田舎の村に引っ越してきた主人公の少年がそこの学校のクラスメイトの女の子たちと楽しくも慌しい日常を過ごしているうちに、毎年村祭りの日に人が殺されたり神隠しにあったりするという村の異常性に気づき、誰を信用して良いのか分からない孤立した状態の中で真相を調べようとするサスペンスホラーである。

このように書くとサウンドノベルによくあるジャンルなのだが、「ひぐらしのなく頃に」にはある特徴が存在する。

ゲーム内で謎が「解けない」のである。

従来のサスペンスものであれば、「犯人当て」や「謎解き」などのオチが用意されているものであるが、「ひぐらしのなく頃に」にはそれが存在しない。
主人公が最後どうなったのかというオチは用意されているのだが、「なぜ人が殺されるのか?」「なぜ人が神隠しに遭うのか?」「犯人は誰なのか?」などの謎は投げっぱなしなのだ。
だからこそ、インターネット掲示板やブログなどで所謂「考察」が盛り上がり、ブームを引き起こしたとも言える。

「ひぐらしのなく頃に」は「鬼隠し編」「綿流し編」「祟殺し編」「暇潰し編」の4本、更にその後に「ひぐらしのなく頃に解」として「目明し編」「罪滅し編」「皆殺し編」「祭囃し編」の4本、計8本がオムニバス形式の本編タイトルとしてリリースされている。リリースされている順番もこの順番である。
前半の4本が出題編として謎を投げっぱなし、後半の4本が出題編4本のそれぞれのストーリーの謎を解く内容となっている。

すなわち、ユーザーが謎の解答を知る前に次々と新しい謎を投げかけ、後半一気に解答をしていくという流れである。
このリリースの順番が、「出題」→「解答」を4回繰り返す順番であったらどうであろうか?

恐らく、1本目、2本目あたりでユーザーは満足し、3本目まで購入しようという意欲はかなり損なわれていただろう。

しかしながら「ひぐらしのなく頃に」は、2年間に渡って出題編を出し続け、更にその後の2年間、解答編を出すことによって、計4年間にも渡り話題を持続させることに成功している。

ここでふと、これと同じような展開を行った過去の作品を思い出す。
その作品も「ひぐらしのなく頃に」同様、多くの謎を投げかけ、「ひぐらしのなく頃に」とは比べ物にならない程の一大ムーブメントを作り上げたのだが・・・。

(2007/07/19)tank

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

ひぐらしのなく頃に祭 お持ち帰りぃ~セット(限定版)

ひぐらしのなく頃に祭 メモリーカード8MB

2007年07月27日

コラム「『ひぐらしのなく頃に』と『あの作品』の共通点!?その2」

「ひぐらしのなく頃に」と同じような展開を行った過去の作品、それはおよそ10年前、一大ブームを築き上げた「新世紀エヴァンゲリオン」である。

当時、ガイナックス社とテレビ東京が製作した「新世紀エヴァンゲリオン」は地球を侵略してくる巨大生物「使徒」と巨大ロボット「エヴァンゲリオン」との戦いを描いた作品であるが、こちらの作品でもTV放映された各話で視聴者に次々と謎を投げかけ、全話放映後も多くの謎が明らかにされないまま残った。しかもストーリー的にも未完である。
その後、一応の謎の解答として映画2本を公開し、ブームも終了となった。

「エヴァンゲリオン」ブームの経緯と「ひぐらしのなく頃に」の展開は非常によく似ている。「エヴァンゲリオン」も放送開始からしばらくはそれほど話題の作品というわけではなかった。しかしながら、各話の中で次々と提示される数々の謎に関して、インターネットを中心に考察が盛り上がり、放送終了後もその盛り上がりは衰えなかった。
そして、深夜に再放送が行われると、コアなアニメファンだけでなく、それまであまりアニメを見なかった視聴者も巻き込み、一大ムーブメントへと拡大していった。

もっとも、本当にコアなアニメファンの間では、最初の放送開始以前から「どうやらすごいアニメが始まるらしい」と囁かれていたようであるが・・・。

このように、「ひぐらしのなく頃に」と「新世紀エエヴァンゲリオン」のブーム形成はよく似ている。
私はここにある種、意図的な仕掛けを感じずにはいられない。

「最初は話題にはならなかったが、口コミで広がり、ムーブメントに至る」というのは、ある意味コンテンツ業界にとって確立されたビジネス手法なのかもしれない。確かにこの手法は時間はかかるが、広告宣伝費はぐっと抑えられるというメリットがあり、時間的リスクを差し引けばローリスク・ハイリターンな手法と言えなくもない。

ただ、この手法は短くとも数年のスパンで行うべき手法であるため、より短期間で資金を回収しなくてはならない中小企業ではなかなか実践することができないのも事実である。数年かけてじっくりとブランドを構築することが可能な大企業か、それこそ採算度外視のマンパワーで作品を作ることが可能な個人のみに許された手法である。

中小企業でもそれなりの覚悟を決めて行えば実践可能かもしれないが、ムーブメントが起きなければ制作費も広告宣伝費もパーである。一つのコンテンツの仕込みに長期間費やしその結果は数年後のお楽しみ、というプロジェクトに踏み切れる中小企業の社長さんはなかなかおりますまい。

ガイナックス社も当時中小企業であったが、社長以下ほとんどの社員が「好きなものを作れるなら残業なんのその」という、マンパワーあふれる個人が集まった会社であったため可能だったようだ。ほとんど全ての中小企業が上場を目指す現在のようなビジネス社会では、当時のように「中小企業からあっと驚くような作品が生み出される」という現象はなかなか起こり得ないかもしれない。

とにもかくにも、「最初は話題にはならなかったが、口コミで広がり、ムーブメントに至る」ビジネス手法はかなり確立されたもののようであるので、今後も第2、第3の「新世紀エヴァンゲリオン」や「ひぐらしのなく頃に」が登場してくることは間違いないはずだ。

(2007/07/27)tank

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

ひぐらしのなく頃に祭 お持ち帰りぃ~セット(限定版)

ひぐらしのなく頃に祭 メモリーカード8MB

          

レビューda!ドットコムTOPへ

PR

2007年08月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

About 2007年07月

2007年07月にブログ「レビューda!ブログ(レビューダブログ)」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年06月です。

次のアーカイブは2007年08月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35